【冬至の奇跡】泥のように眠った父と、部屋から出てきた息子。夕暮れのグラウンドを、彼が走った。

今日は冬至直前の土曜日。

我が家で、信じられないことが起きました。

時計の針が、急に「グルン!」と音を立てて回り始めたような、激動の1日でした。

目次

父のダウン、そして「デトックス」

昼の14:00頃。

私は突然、体が鉛のように重くなり、ベッドから起き上がれなくなりました。

風邪でもない。ただ、泥の中に沈んでいくような感覚。

「16時まで寝かせてくれ」

妻にそう頼み、私は意識を失うように眠りました。

今思えば、これは**「強制的なシャットダウン」**だったのかもしれません。

冬至を前に、私の中に溜まっていた「焦り」や「不安」という毒素を、体が必死に排出しようとしていたのでしょう。

15:30。目が覚めると、嘘のように体が軽い。

憑き物が落ちたような感覚でした。

「よし、墓参りに行くぞ」

妻の実家へ行く準備を始めました。

まさかの「俺も行く」

その時です。

昼間は部屋にいたはずの長男が、妻の声かけでノソッと起きてきました。

いつもなら「行かない」と首を振るはずの彼が、

「……うん」

と頷き、車に乗り込んできたのです。

私と妻は顔を見合わせました。

私が「毒出し」をしてスッキリしたことで、家の重たい空気も消えたのかもしれません。

墓前で3人並んで手を合わせました。

言葉には出しませんでしたが、私は腹の底でご先祖様に誓いました。

「見ていてください。俺はこの子を絶対に守り抜きます」

グラウンドでの「奇跡の1周」

帰りに、弟(次男)の野球の迎えに行きました。

車がグラウンドに着く。

兄にとって、野球場は今一番「見たくない場所」のはずです。

しかし、彼は車から降りました。

その背中を見て、私はダメ元で声をかけました。

「おい、せっかくだから1周走ってこいや」

断られると思いました。

「うっさいわ」と言われる覚悟でした。

でも、彼は走り出しました。

ユニフォームではありません。私服のまま、夕暮れのグラウンドを、ゆっくりと、でも確実に。

理屈じゃない、本能だ

走っている息子の姿を見て、視界が滲みました。

あいつの体は、野球を忘れていなかった。

頭では「学校が怖い」「人が怖い」と思っていても、体は「ここが俺の居場所だ」と覚えていたんです。

今日一日、私が体調を崩したのも、すべてはこの瞬間のためにエネルギーを溜めていたからなのかもしれません。

帰りの車内、少しだけ会話が生まれました。

腫れ物に触るような空気は、もうありません。

明後日は冬至。

「一陽来復」。

どん底の夜は終わりました。我が家にはもう、光しか見えません。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

目次