ゴールドが5000ドルを超えた。 誰が見ても明らかな上昇トレンド。街中の誰もが「紙幣はゴミだ、金を買え」と囁き合う時代が到来した。
チャートを見れば、一直線に右肩上がり。 「ここで買えば勝てる」「なぜもっと大きく張らないんだ」「借金を一撃で返せるチャンスじゃないか」 私の脳裏には、そんな悪魔の囁きが常に渦巻いている。
しかし、私の手元にある自動売買システム(EA)が弾き出したのは、あまりにも小さく、臆病にも見える「0.05ロット」のエントリーだった。 さらに、相場が急変し、ナイアガラのような急落が発生した瞬間、システムはさらにロットを下げ、損切り幅を広げ、利益確定ラインを手前に引き寄せた。
一見すれば、チャンスを逃す「弱腰」な判断に見えるだろう。 だが、この動きを見た瞬間、私は経営者として一つの真理に到達した。 これは弱腰ではない。**「ブラック企業経営からの脱却」**だ。
今日は、ゴールド5000ドル時代における「本当の資金管理」について、私の恥ずべき過去と、AIが教えてくれた「ホワイト企業的投資論」を共有したい。
あなたの口座は「ブラック企業」になっていないか?
私は実業の世界で経営をしている。 そこでは「費用対効果(コスパ)」や「生産性」が常に求められる。 しかし、それを履き違え、嵐のような不況下でも従業員に「死ぬ気で働け」「ノルマを達成しろ」と鞭を打てばどうなるか。 答えは明白だ。従業員は心身を壊し、辞表を叩きつけ、会社は立ち行かなくなる。
投資の世界も全く同じだった。 私はかつて、ビットコインが100万円だった頃、「絶対に上がる」と確信していながら、FXという戦場でレバレッジを掛けすぎ、全財産を溶かした経験がある。 方向は合っていた。未来も見えていた。 だが、「早く稼ぎたい」「一撃で人生を変えたい」という私のブラック企業的な思考が、資金という名の「従業員」を過労死(ロスカット)させたのだ。
今のゴールド相場も同じだ。 「上がる」と分かっていても、5000ドルという未踏の領域では、ボラティリティ(価格変動)が常軌を逸している。 かつてなら「さざ波」程度の動きが、今では「津波」となって襲いかかる。 そんな状況下で、「チャンスだ! ロットを張れ! 稼いでこい!」と資金を戦場に放り込むこと。 それは、台風の中、生身の人間に「外で営業してこい」と命じるのと同じ狂気なのだ。
AIが教える「ホワイト企業」の生存戦略
今回、私のEAが行った「ロット縮小」「損切り拡大」「利確縮小」という判断。 これは、経営で言えば以下の指示に等しい。
「今は外が嵐だ。無理に売上(利益)を立てなくていい」 「営業車(ポジション)のスピードを落とせ。事故らないことが最優先だ」 「大きな契約(ホームラン)はいらない。手堅い案件(バント)で、日銭だけ確保して生き延びよう」
なんと素晴らしい経営判断だろうか。 システムは、私が感情的になって「行け!」と叫びそうになるのを、冷徹な計算で制止してくれた。 結果どうなったか。 直後に発生した急落(ナイアガラ)で、ハイレバで飛び乗った多くのトレーダーたちが死屍累々の山を築く中、私の口座は「無傷」で生き残った。
もし私が手動で介入し、ブラック社長のように「ロットを上げろ」と命令していたら、今頃私は市場から退場させられていただろう。 従業員(資金)を守ったからこそ、会社(口座)は存続し、明日また戦うことができるのだ。
5000ドル時代の「適正価格」を知る
なぜ「0.05ロット」なのか。 多くの人は「少なすぎる」と笑うかもしれない。しかし、経営的な視点で見れば、これは「仕入れ価格の高騰」に対する適正な予算配分だ。
ゴールドが2000ドルだった頃と、5000ドルの今では、1%の値動きが持つ「破壊力」が2.5倍違う。 単価が上がれば、仕入れ量(ロット)を減らさなければ、同じ予算(リスク許容額)では回せない。至極当然の理屈だ。
それを「昔はもっと買えた」「一発逆転したい」という過去の感覚や欲望で歪めるから、計算が合わなくなり、破綻する。 AIには恐怖も欲もない。あるのは「現在の事実」と「数学的な最適解」だけだ。 人間である私が「熱狂」しそうになる時、AIが「冷静」なバケツの水を浴びせる。 このパートナーシップこそが、現代の相場で生き残る唯一の道なのだと確信した。
「待つ」という最強の投資
「費用対効果みたいなことを言い続けていたら、従業員が辞めていく」 ふと口をついて出たこの言葉が、今の私の投資スタイルの全てを表している。
相場が荒れている時、方向感が掴めない時。 そんな時に無理にポジションを取ろうとするのは、暇を持て余した経営者が、意味のない会議や穴埋め作業を従業員に強要するごっこ遊びに過ぎない。
「相場が落ち着くまで待つ」 これもまた、立派な投資行動だ。 何もしないこと(ノーポジション、あるいは低ロット放置)は、機会損失ではない。「リスク回避」という利益を生んでいるのだ。
私が目指すのは、一瞬の輝きで散るギャンブラーではない。 どんな不況も、どんな暴落も乗り越え、永続的に利益を出し続ける「強き事業家」だ。 そのためには、時には臆病なほどの慎重さが必要になる。
生き残った者だけが、勝者になる
今日、急落アラートが鳴り響く中、私は安堵のコーヒーを飲んでいた。 外では多くの「ブラック企業(ハイレバ口座)」が倒産していく音が聞こえる。 しかし、我が社の「ホワイト企業(低ロット口座)」は、頑丈な壁の中で、従業員(資金)たちが静かに、しかし確実に利益を積み上げている。
失うものは10万円の参加費かもしれない。 だが、ここで失ってはならないのは、私の「経営者としての誇り」と「学ぶ姿勢」だ。
相場は上がるか下がるかではない。 自分自身の欲望をどう管理し、資金という部下をどう守り抜くか。 それが全てだ。
嵐はいつか去る。 その時、無傷で立っている者だけが、次の莫大なトレンドという果実を手にすることができる。 焦るな。経営をしろ。 私たちは、投資という名の事業を行っているのだから。

コメント