【第43話】「変えようとしない」が最強の回復策。空海の教えで気づいた、私が息子にすべき唯一のこと。

不登校から復帰したものの、頑なに部活(野球)には戻ろうとしない息子。 「学校に行けているだけで十分だ」と頭では分かっていても、心のどこかで焦っていました。

「どうすれば、あいつはやる気を出すんだ?」 「どう接すれば、また白球を追うようになるんだ?」

そんな「How to(方法論)」ばかりを探していた私に、偶然出会った一本の動画が、ハンマーで頭を殴られるような衝撃を与えました。

それは、1200年前の「空海」の教えを説いたものでした。

目次

私は「変えようとする毒親」だった

動画の中で、今の私を全否定し、そして救ってくれる言葉がありました。

「人は変えられた時に強くなるのではありません。受け入れられた時に初めて自分の力で立ち上がれるようになる」

私は言葉を失いました。 私がこれまで息子にしてきたこと。それは全て「息子を変えようとする行為」だったからです。

  • 朝起きない息子を、叩き起こして学校へ行かせようとした(生活リズムを変えたい)。
  • 野球を辞めたいと言う息子に、継続の美学を説いた(考え方を変えたい)。
  • 今、ダラダラしている息子を見て、「いつ復帰するんだ」と無言の圧をかけている(行動を変えたい)。

動画はこう続きます。

「子供にとって変えられようとすることは、今の自分では足りないと言われ続けることとほとんど同じ意味を持ちます」

私の「良かれと思って」のアドバイスも、激励も、息子にとっては「今のままのお前じゃダメだ」という否定のメッセージでしかなかったのです。 彼が壁に穴を開け、私に掴みかかってきたのは、反抗ではなく「俺を今のまま認めろ!」という悲痛な叫びだったのだと、今さら気づきました。

「安心」という名の器(うつわ)になる

では、親はどうすればいいのか。 空海は「水は器によって形が変わる」と説きます。 子供の心が荒れているのは、子供自身が悪いのではなく、親という「器(家庭の空気)」が波立っているからだと。

今の私の心は、焦りと不安で波立ちまくっています。 「このまま野球を辞めたらどうしよう」「将来どうなるんだ」。 その親の不安が家庭の空気を張り詰めさせ、息子から「安心」を奪っていたのです。

動画の中で、非常に腑に落ちた教えがありました。

「失敗した時にここには戻れないと感じた瞬間、子供のメンタルは折れる」

息子が野球に戻れない最大の理由は、これでした。 「もし復帰して、また打てなかったら? また失敗したら?」 その時、結果主義の私の元には「戻る場所」がない。だから、怖くて踏み出せないのです。

今日からの作戦:親父は「沈黙」を守る

私は今日、子育ての戦略を180度転換します。 「どうやって野球部に戻すか」を考えるのを、完全にやめます。

代わりにやるのは、「評価の保留」と「沈黙」 です。

  • 息子がいつ起きても、何も言わない。
  • 9万円使って遊んでも、「良い・悪い」のジャッジをしない。
  • 「野球どうする?」と聞きたくなったら、数秒間、息を止めて黙る。

「大きな声で叱ることよりも、小さな沈黙の方がはるかに人を育てることがある」

この言葉を信じてみます。 私が「息子を変えたい」という執着を手放し、ただの「静かな器」になった時。 家庭が「戦場」から「安全地帯」に変わった時。

その時初めて、息子は自分の意志で「次の一歩」を踏み出すはずです。 それが野球なのか、他の何かなのか。それはもう、彼が決めることです。

親父の仕事は、監督として指示を出すことではなく、ベンチを温めて「いつでも帰ってこい」とどっしり構えることでした。 1200年の時を超えて、空海さんに一本取られました。

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