昨日の夕方、息子はグラウンドを走りました。
「これで復活だ!」と私は舞い上がっていました。
しかし、不登校からの復帰は、そんな一直線な物語ではありませんでした。
一夜明けて、私は息子の心の中で起きている**「猛烈な綱引き」**を目の当たりにしました。
「駅で待ってるぞ」
昨夜、息子のスマホに通知が来ていました。
野球部の仲間からです。
「まだ大丈夫か?」
「駅で待ってるぞ」
学校に行けなくなって20日。
普通なら、腫れ物に触るように距離を置かれたり、忘れ去られたりしてもおかしくない時間です。
それでも、あいつらはまだ息子を「チームメイト」として扱ってくれている。
親の私には言えない弱音も、彼らなら受け止めてくれるのかもしれない。
この「帰れる場所」がまだ残っていることに、私はただただ感謝しました。
これが、息子をこっち側の世界に引き留めてくれる**「光」**です。
マスカット味の「逃避」
しかし今朝、ふと見てしまったスマホの画面に、私は凍りつきました。
Amazonの注文履歴。
そこにあったのは、**「電子タバコ(ベイプ)」**と、近くのコンビニでの受け取り指定でした。
マスカット味。ニコチンもタールもない、おもちゃのようなものです。
でも、それは明らかに「背伸び」であり、野球部ではない「夜の遊びを知っている連中」への憧れ、あるいは現実逃避の象徴です。
これが、息子をあっち側の世界へ誘う**「影」**です。
取り上げるのは簡単だが
私の心は乱れました。
「昨日はあんなに走ったのに!」
「そっちの友達と関わってほしくない!」
今すぐその電子タバコを取り上げて、怒鳴りつけるのは簡単です。
でも、それをすれば息子は意地になり、余計に「影」の方へと走っていくでしょう。
彼が今、その甘い煙を必要としているのは、「野球部の期待に応えられない自分」への罪悪感を紛らわせたいからかもしれません。
光が眩しすぎるから、少しだけ影で休みたいのかもしれません。
私は「光」に賭ける
私は、見なかったことにしました。
そのおもちゃの煙を吸って気が済むなら、吸わせておけばいい。
私がガミガミ言うよりも、野球部の仲間が
「そんなダサいもん吸ってねえで、キャッチボールしようぜ」
と言ってくれる方が、100倍効くはずだから。
あいつの魂は、偽物の煙の匂いより、グラウンドの土の匂いの方を求めている。
昨日のランニングがそれを証明しています。
今は、仲間との絆という「光」が勝つことを信じて、親父は黙って綱引きを見守ります。

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