【第32話】始業式に行けた数時間後、俺は息子に殴られた。復帰の喜びを粉砕した「友人の一言」。

1月8日。始業式。 奇跡が起きた。息子が学校へ行ったのだ。 休み明けテストも受け、担任とも話し、昼過ぎに帰ってきた。

「友達にも会えたし、良かった」 妻からの電話でそう聞いた時、俺は職場でガッツポーズをした。 この1ヶ月、腫れ物に触るようにケアしてきた努力が報われたと思った。

だが、それは「ぬか喜び」だった。

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俺が帰宅した瞬間、ゴングは鳴った

夕方、俺が玄関のドアを開けた瞬間。 2階からドタドタと足音が響き、息子が猛スピードで降りてきた。

「おかえり」ではない。 俺の胸に、息子のハイキックが突き刺さった。

「お前、言ったんか!!」 「学校にバラしたんか!!」

息子の拳が、雨あられのように俺の胸を叩く。 タックルで俺を倒そうと必死にもがく。

俺は体重80キロ。息子は60キロ。 物理的な痛みはない。倒されることもない。 でも、心臓が握りつぶされるほど痛かった。

学校で突きつけられた「現実」

理由を聞いて、血の気が引いた。 久しぶりに会った野球部の仲間に、こう言われたらしい。

「お前、家で暴れてるんやろ?」 「親に暴力振るったらしいな」

息子にとって、学校は「戦場」だった。 必死に作った「普通の自分」の仮面を、その一言が剥がし取ったのだ。 一番知られたくない恥部を晒された屈辱。 その怒りの矛先が、情報の出処である(と思われた)俺に向かった。

「1ヶ月のケア」が崩れ去った日

俺はただ、サンドバッグのように立ち尽くした。 口止めをしておくべきだったのか? いや、高校生の噂話を親がコントロールなどできない。

確かなのは、一つだけ。 **「今の学校に戻れば、彼は『親を殴ったヤツ』というレッテルと戦わなければならない」**ということだ。

その視線に耐えながら通うメンタルは、今の彼にはない。 今日一日頑張って行った結果が、これだ。 あまりにも残酷すぎる。

親父の決断。「撤退戦」を始める

俺は決めた。 この学校への「復帰」には、もうこだわらない。

彼がこれ以上傷つかず、心が潰されない場所があるなら、そっちでいい。 通信制でもなんでもいい。 「普通」に戻そうとした結果、家庭内で血が流れるなら、そんな「普通」はいらない。

明日から、俺は息子を起こさない。 「おはよう」も「おやすみ」も言わない。 刺激しないよう、幽霊のように気配を消して生活する。

これはネグレクトじゃない。 これ以上、俺とお前が壊れないための、**互いの安全距離(ソーシャルディスタンス)**だ。

80キロの親父の体は、まだ耐えられる。 でも、これ以上、息子の歪んだ顔は見たくないんだ。

※今の俺のように、心が折れかけている親へ。逃げ場所の候補(資料)だけは持っておこう。それだけが唯一の希望になる。

>>「今の学校」が全てじゃない。子供の心が壊れる前に見ておくべき「別の道」

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