【第30話】70万円の支援面談と、息子を訪ねた友人

支援面談の資料を前に考える父と、別室で話す息子と友人を描いた匿名イラスト

1月6日。始業式まであと2日。俺は焦っていた。

「3学期からは行く」という息子の言葉を信じたい。でも、体は動いていない。親として動くべきか、黙って待つべきか。その間を行ったり来たりしていた。

目次

両親がいない家に、友人が訪ねてきた

一月五日の友人訪問と一月六日の支援面談を並べた二日間の図
二つの出来事を、優劣をつけず時系列で読みます。

俺たち両親が外出していたとき、インターホンが鳴った。訪ねてきたのは、野球部のチームメイトだった。

普段なら居留守を使う息子が、自分で玄関へ出た。そして、そのまま近くのショッピングモールへ遊びに行ったという。

帰宅後、じいちゃんからの電話にも明るい声で出ていた。

「うん、始業式は行くよ」

その日の息子の言葉

友人の訪問が何かを解決した、とまでは言えない。それでも、俺があれこれ言うより自然に外へ出た息子の姿は、頭から離れなかった。

一方の俺は、再登校支援の面談を受けていた

藁にもすがる思いで、以前から気になっていた再登校支援サービス「スダチ」の無料面談を受けた。

担当者の言葉は、鋭利な刃物のように俺の甘えを切り裂いた。当時の面談で、俺は次のように受け取った。

  • 「行け行けと言うと、高校生は余計に反発します」
  • 「まずは本人の意思を尊重。でも動かなければ、社会のルール(義務と権利)を教える必要があります」
  • 「学校に行かないなら、スマホやゲームを制限する。これがデジタル制限です」

当時の面談で、俺が記録した言葉

理屈は分かる。正論だとも思った。だが、実行すれば息子が暴れるかもしれない。壁に穴が空くかもしれない。面談では、「それでも親御さんに、その覚悟はありますか?」と問われた。

そこで示された費用

もし8日の始業式がだめだったら、有料支援へ進むつもりだった。初期費用で5万円。その先、本格的に頼めば50万円、いや70万円のコースもあるという。

70万円。 息子の人生のためなら安いかもしれない。でも、ポンジスキームで金を溶かしたばかりの我が家には、胃が痛くなる金額だった。

これが「解決」の値段なのか。頭の中は、金と覚悟の話でいっぱいになった。

高い支援か、友人の一言か。答えは一つではなかった

有料支援と友人や通信制高校という別の道を並べた図
当時の父は、選択肢を一つに絞らず始業式を待ちました。

面談で聞いた考え方には、強さがあった。一方で、たった一人の友人の「遊ぼうぜ」という一言で、息子は自分から玄関を出た。

第三者の介入が怖いと思っていたが、良い方向に転がったのかもしれない。だからといって、友人の訪問だけでこの先が決まるわけでもない。

始業式まであと少し。息子は「行く」と言っているが、部活にはまだ行かないらしい。それでもいい。当時の俺には、一歩前進に見えた。

始業式に行けなかったときのために、別の道も持っておく

俺の手元には、再登校支援の話と、通信制高校という別の選択肢があった。

もし始業式に行けなくても、いきなり70万円を払う前に、まず無料で集めた通信制高校の資料を息子へ見せるつもりだった。

「今の学校だけが全てじゃないぞ」

当時、息子へ伝えようとしていた言葉

解決にお金を払う覚悟も必要なのかもしれない。でも、その前に無料でできる準備もある。俺は、選択肢を一つに絞らずに始業式を待つことにした。

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