1ヶ月前、我が家は地獄だった。壁に穴が空き、俺の身体には息子からの蹴りが飛び、息子自身は幻覚を見ていた。
あれから数週間。3学期に入り、事態は「V字回復」を見せている。息子は今、学校に行っている。それどころか、週末には片道2時間以上かけて街まで出かけ、友達と買い物をし、ボーリングを楽しんでいる。
親として、これほど嬉しいことはない。しかし、経営者としての「そろばん」を弾くと、別の冷や汗が出る。
週末の「請求書」は9万円
先週末、息子が遊びに使った金額。土曜日に5万、日曜日に4万。合計9万円だ。
高校1年生のお小遣いとしては、常軌を逸している。大好きな有名YouTuberが近くに来るからと、新しい服を買い込み、朝早くから自分で起きて出かけていった。
「甘やかしすぎだ」。そう叱る声が聞こえてきそうだ。俺の中にも、その葛藤はある。みんなが寒い中、泥だらけになって白球を追っている時間に、お前は9万の服を着て遊んでいるのか、と。
でも、今の俺には、これを止めることはできなかった。
「9万円」で買ったもの
なぜなら、この9万円の出費と引き換えに、息子は劇的な変化を見せたからだ。家族LINEに、友達との笑顔の写真を送ってきた。俺の問いかけに、素直に頷くようになった。何より、「生気」が戻った。
1ヶ月前、誰とも口を聞かず、部屋で腐っていたあの頃。あの時、もし高額な支援業者に頼んでいたら?もし精神科に入院していたら?
そう考えれば、この9万円は「格安の治療費(リハビリ代)」なのかもしれない。
遊びでエネルギーを満タンにする時期
今の息子は、枯渇していたエネルギーを「遊び」で急速充電している状態なのだろう。憧れの人に会いに行く行動力。早起きして服を選ぶ意欲。そのエネルギーの矛先が、今はまだ「野球」に向いていないだけだ。
悔しいが、今は認めようと思う。家を破壊されるプライスレスな絶望に比べれば、9万円で笑顔が買えるなら安いものだ。
ただ、息子よ。この「ボーナスステージ」は今だけだぞ。エネルギーが満タンになったら、次はグラウンドでその体力を発揮してもらうからな。親父の財布が空になる前に、完全復活してくれることを祈るばかりだ。

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