今のチームで、一人の選手が投手と捕手の両方を担っている。この起用は2027年も続けられるのか。投手から一度内野手へ移れば、その後に捕手へ回れるのか。
結論から言うと、できません。
全日本軟式野球連盟(以下、全軟連)は、2026年2月3日付の通知と変更点一覧で、2027年から学童部の同一試合中に投手と捕手を兼任することを禁止すると示しました。投手から他の守備位置へ移り、再び投手へ戻ることは認められます。捕手から他守備へ移り、再び捕手へ戻ることも認められます。しかし、他守備を挟んだとしても、同じ選手がその試合で投手と捕手の両方を担うことはできません。(C-BRP-001〜006)
ここで決めるべきなのは、「次のエースは誰か」だけではありません。投手候補、捕手候補、他守備へ移った後の戻し方、急な欠場が出たときの穴を、来季前に一枚の表で見えるようにすることです。
最初に確認する3点
公式通知を読むときは、対象、いつから、何が禁止されるかを分けます。
| 確認項目 | 今回確認できた内容 | 広げてはいけない解釈 |
|---|---|---|
| 対象 | 全軟連の学童部 | 少年部、社会人、プロ、他団体にも一律適用 |
| 開始 | 2027年から | 現在から全試合で禁止済み |
| 禁止内容 | 同一試合で同じ選手が投手と捕手を兼任 | 投手と捕手の守備交代をすべて禁止 |
通知のタイトルには「学童部・少年部」とあります。だからといって、一覧に書かれたすべての変更を両区分に共通と解釈してはいけません。投手・捕手兼任禁止について、検証済み資料から確認できた対象は学童部です。少年部、社会人、プロ、他団体の大会へ広げません。(C-BRP-002)
また、「2027年から」という確認範囲を、この記事だけで「2027年1月1日の全試合から」「2027年度の全大会に適用」と具体化することもできません。自分たちが出場する大会でいつから適用されるかは、最新の大会要項と加盟団体の案内を確認する必要があります。(C-BRP-001)
「できる起用」と「できない起用」

一番間違いやすいのは、元の守備へ戻ることと、投手と捕手を兼任することの混同です。
認められる起用
- 選手A:投手→一塁手→投手
- 選手B:捕手→三塁手→捕手
選手Aは試合中に投手を離れていますが、捕手は担っていません。そのため、今回の兼任禁止の説明上は元の投手へ戻れます。選手Bも同じで、捕手を離れた後に元の捕手へ戻れます。(C-BRP-004、005)
認められない起用
- 選手C:投手→捕手
- 選手D:捕手→投手
- 選手E:投手→遊撃手→捕手
- 選手F:捕手→左翼手→投手
選手EとFのように他守備を挟んでも、同じ試合で同じ選手が投手と捕手の両方を担う事実は変わりません。見るべきなのは直前の守備位置ではなく、その選手が当日の試合ですでに投手または捕手を担ったかです。(C-BRP-003、006)
この説明だけで他の交代条件まで確定しない
ここで示したのは、投手・捕手兼任禁止に関する切り分けです。実際の試合では、選手登録、交代、再出場、投球数など、別の規定もかかわります。
たとえば「投手→一塁手→投手は兼任禁止の説明上は可能」ということは、どの大会でも無条件に再登板できることを意味しません。最新の競技規則と大会要項の両方を照合してください。
来季前に作る「役割分担表」

自分はこの変更を、「投手と捕手を各一人決めれば終わり」とは捉えていません。野球の起用は、スタメンだけでは完成しないからです。交代、欠場、他守備への移動が起きたときに、次の一手を選べる表にします。
以下は全軟連の公式様式ではありません。公式通知を誤読しないために、編集部が作った事前確認表です。(E-BRP-002)
| 選手 | 投手候補 | 捕手候補 | 主な他守備 | 同時欠場時の穴 | 当日履歴の記録者 |
|---|---|---|---|---|---|
| A | ○ | — | 一塁手 | Aが投手時の一塁手が空欄 | スコアラー |
| B | — | ○ | 三塁手 | Bが捕手時の三塁手が空欄 | スコアラー |
| C | ○ | — | 中堅手 | Aと同時に投げられない場合の差配が空欄 | ベンチ担当 |
| D | — | ○ | 一塁手 | B欠場時の捕手と一塁手の入替が空欄 | ベンチ担当 |
大事なのは、候補欄に丸を付けることより、「同時欠場時の穴」を残さないことです。投手Aを一塁手からマウンドへ移すと、一塁手が必要になります。捕手Bが三塁手も担うなら、捕手起用時の三塁手を決めなければなりません。
投手と捕手だけを切り出さず、九つの守備位置がどう動くかまで見る。これで初めて、役割分担表がスタメン予想から運用表に変わります。
試合中は「今の守備」より「当日の履歴」を見る
事前の役割分担表だけでは、試合中の動きを管理できません。交代が重なると、その選手が当日の試合で投手または捕手をすでに担ったかを、直前の守備位置だけでは判断できなくなります。
そこで、選手別の当日履歴を一行で残します。(E-BRP-001)
| 選手 | 先発守備 | 投手済み | 捕手済み | 現在の守備 | 次に入れる役割の確認 |
|---|---|---|---|---|---|
| A | 投手 | ○ | — | 一塁手 | 投手復帰は別規定も確認。捕手は不可 |
| B | 捕手 | — | ○ | 三塁手 | 捕手復帰は別規定も確認。投手は不可 |
この表は公式メンバー表やスコアブックの代わりではありません。監督、スコアラー、ベンチ担当の誰が確認するかを決め、公式記録と照合するための補助表です。
交代前の声出し確認
交代を申し出る前に、次の順番で確認します。
- 入れる選手の当日履歴を見る
- 投手済みなら捕手に入れない、捕手済みなら投手に入れない
- 元の投手または捕手へ戻す場合は、再出場等の別規定も見る
- 交代後に空く守備位置を確認する
- 公式の申告と記録を行う
交代は守備番号を動かすパズルではなく、選手ごとの履歴を引き継ぐ作業です。その共通認識があると、他守備を挟む誤解を減らせます。
よくある失敗と修正方法
失敗1:通知タイトルだけを読む
「学童部・少年部の変更」というタイトルから、投捕兼任禁止も少年部に適用されると読んでしまう失敗です。
修正方法は、変更点一覧で項目ごとの対象を確認すること。「通知全体の対象」と「その変更項目の対象」を分けます。
失敗2:他守備を挟めば両役できると考える
「投手→一塁手が認められるなら、その後は捕手に入れる」と考える失敗です。しかし、禁止の単位は直接交代ではなく、同一試合における同一選手の両役兼任です。
修正方法は、現在の守備ではなく「投手済み」「捕手済み」を選手別に残すことです。
失敗3:一番手の二人だけ決める
先発投手と先発捕手を決め、他守備の移動や欠場時の代替を決めない失敗です。役割を二人に分けても、どちらかが出られなければ起用が止まります。
修正方法は、候補者だけでなく、その選手が移動した後に空く守備位置を表へ書くことです。
失敗4:役割分担表を公式ルールの代わりにする
この記事の表は、チーム内の事前確認と当日履歴の補助用です。大会要項、公式メンバー表、交代申告、スコアブックを置き換えられません。
修正方法は、表の一番上に「最新要項の確認日」「確認者」「対象大会」を書き、ルール変更時に使い回さないことです。
選手数が少ないチームでの限界
役割分担表を作れば、選手数不足が解決するわけではありません。表の空欄は、登録人数、日程、急な欠場、別守備との重なりなど、チームだけではすぐ解決できない問題を示すこともあります。
その場合に「一人が両方をやればいい」と元の起用へ戻すのではなく、次の順番で確認します。
- 出場する大会の最新要項を開く
- 登録、合同チーム、応援選手等に関する記載があるか確認する
- 加盟団体または大会主催者の公式窓口に、推測せず確認する
- 可能な選択肢と登録期限を記録する
- 選手の痛みや違和感を起用表で判断せず、投球可否や復帰は適切な専門家の確認へ分ける
この記事で「必要な捕手は何人」「投手は必ず何人育てる」と一律に断定しないのは、選手数、他守備の兼務、大会条件がチームごとに異なるからです。ただし、同じ試合で投手と捕手を同一選手に集める起用を前提にはできません。
障害予防という目的と、記事で言える限界
全軟連の変更点一覧は、投手と捕手の兼任禁止を障害予防の目的として示しています。(C-BRP-007)
ただし、目的と効果保証は別です。この変更に従えば個別選手の障害を必ず防げる、投手と捕手を分ければ起用は安全だ、とは言えません。逆に、2027年までなら個別選手の兼任に問題がないという判断もできません。
役割分担表ができるのは、起用予定と試合中履歴を整理することまでです。選手の痛み、違和感、疲労、投球の可否、復帰時期、フォームの良否を診断する道具ではありません。ルール確認と身体の判断を一緒にしないでください。
今週行う30分の準備

まずは大きな練習改革より、現状の可視化から始めます。
0〜5分:公式資料を共有する
全軟連の通知ページと変更点一覧のURLを、監督、コーチ、スコアラー、運営担当が確認できる場所へ置きます。スクリーンショットだけでは更新を追えません。URLと確認日を残します。
5〜15分:現在の一人依存を見つける
選手名を匿名化してA、B、Cと書き、投手候補と捕手候補の両方に同じ記号がないかを見ます。同じ選手だけに丸が集まっているなら、2027年の起用で使えない前提が残っています。
15〜25分:穴になる他守備を書く
投手候補がマウンドに入ったとき、元の守備に誰が入るか。捕手候補がマスクをかぶったとき、元の守備に誰が入るか。投捕以外の空欄まで埋めます。
25〜30分:未解決を質問に変える
空欄を想像で埋めず、大会主催者または加盟団体に確認する質問へ変えます。
- この大会での適用開始日はいつか
- 登録・交代・再出場の細目はどの資料を見るか
- 大会独自の追加規定はあるか
- 監督会議で更新された運用はあるか
「分からない」は勝手に埋める欄ではなく、公式窓口へ渡す質問欄です。
FAQ
2027年から、投手は試合中に他の守備へ移れますか?
今回確認した兼任禁止の説明では、投手が他守備へ移り、再び投手に戻ることは認められます。ただし、実際の再登板可否は交代、再出場、投球数等の別規定も含め、最新の大会要項で確認してください。
投手から一度内野手に移れば、捕手になれますか?
なれません。他守備を挟んでも、同じ試合で同じ選手が投手と捕手の両方を担うことになるからです。
捕手が他守備に移った後、捕手へ戻れますか?
今回の兼任禁止の説明上は戻れます。ただし、交代・再出場等の別規定は大会ごとに再確認します。
少年部でも2027年から禁止されますか?
この記事の検証済み資料から、投手・捕手兼任禁止の対象として確認できたのは学童部です。通知タイトルに少年部が含まれることだけで、本変更を少年部へ広げないでください。
どの大会でも2027年の最初の試合から適用されますか?
この記事だけでは確定できません。全軟連の公式通知と同時に、出場する大会の最新要項、加盟団体の追加規定、監督会議資料を確認してください。
役割分担表を作れば、障害を防げますか?
その効果は保証できません。全軟連の一覧は障害予防を目的として示していますが、役割表は起用と履歴の確認用です。痛み、違和感、投球可否、復帰は別に判断します。
関連記事
役割分担表と同じく、グラウンド運営は「その場で考える」より事前に停止・連絡・避難の役割を決めると迷いを減らせます。雷の日の準備は、雷鳴が聞こえたら野球練習はどう止める?で確認できます。
野球記事の一覧は、野球カテゴリーにまとめています。どちらも公開前のWordPress実プレビューで表示と到達先の再確認が必要です。
まとめ:「一人の万能さ」ではなく「試合中の履歴」で準備する
2027年から、全軟連の学童部では、同一試合中に同じ選手が投手と捕手を兼任することが禁止されます。
- 投手→他守備→投手は、兼任禁止の説明上は認められる
- 捕手→他守備→捕手も、兼任禁止の説明上は認められる
- 投手→他守備→捕手は認められない
- 捕手→他守備→投手も認められない
- 対象として確認できたのは学童部であり、少年部やすべての少年野球へ広げない
- 個別大会の適用日、登録、交代、再出場は最新要項で再確認する
- 障害予防という目的を、個別選手への安全保証に置き換えない
来季への最初の一歩は、新しい正捕手やエースを即断することではありません。現在の投手候補と捕手候補を別欄に書き、同じ選手へ両役が集まっていないか、他守備の穴はどこにできるかを見ることです。ルール変更は、名前を二人書いたら終わりではありません。試合中の次の一手まで表にして、初めて準備になります。
出典
- 全日本軟式野球連盟「2026年以降の学童部・少年部の大会運営に係る変更について」(2026年2月3日付、2026年8月3日検証済み台帳参照)
- 全日本軟式野球連盟「2026年以降の大会運営に係る変更点について(一覧)」(2026年8月3日検証済み台帳参照)

コメント