NotebookLMは、最新版だけを入れておけば足りるでしょうか。今回の架空資料では、過去の日付のルールを聞くなら旧版も必要でした。新版だけの「資料からは不明」は、必要な過去の条件が欠けていることを示す、今回の資料範囲に沿った応答でした。
NotebookLMの新旧資料の扱いを確かめたい方へ。今回の実測画面とGoogle公式ヘルプの本文には「Gemini Notebook」と表示されていたため、以下ではその名称を使います。この記事の例はすべて実験用の架空資料で、実在の会社や受付の運用ではありません。
資料を新しい順に選ぶ前に、「いつのルールを知りたいか」を決める。この記事では、改訂済みでも適用前なら旧版が必要になる架空例を使います。新版しか渡さない条件では、過去時点の値を「不明」とすることも適切な答えです。
今回の6回答では、適用前の2027年2月20日は、新旧2資料なら旧版の値、新版のみなら資料から不明という違いが出ました。実回答と引用の照合結果を、下の6セル表で示します。
新しい資料と、その日に使える資料は違う
今回の旧版v1は、2027年1月5日から使う通常受付の手順です。「後続版の適用開始日前まで使用する」と明記し、締切は火曜日17:00、確認項目は11個にしました。新版v2の改訂日は2月12日ですが、適用開始日は3月1日。こちらの締切は水曜日15:00、確認項目は14個です。
この条件なら、2月20日時点の通常受付はv1、3月2日時点ならv2を使うのが資料に沿った判断です。なお、ここで聞いているのは「その日以降、次に来る締切の日付」ではありません。その時点で有効な、曜日・時刻のルールです。
ところがv2だけを渡して2月20日を聞くと、v1の値は資料にありません。v2がまだ適用前だとは分かっても、当時の締切や項目数までは確定できません。「新版だけで過去の答えも出せるはず」と思わないことが、今回確かめたい点です。
特別対応のルールも、どちらの資料にも書いていません。通常受付の値を返すことと、「特別対応は通常と同じ」と断言することは別です。記載のない規則を足さず、分かる範囲を止められるかも見ます。

実験に使うTXTは、この2つだけ
再現用の資料を全文掲載します。そのままコピーして試せます。原本を残すなら、表示したファイル名でUTF-8のTXTとして保存してください。数値を変えた場合の結果は、今回の6セルとは別の試行として扱います。
fictional-rules-v1.txt
架空の提出手順 v1
これは再現実験専用の完全な架空資料です。実在の人物・団体・場所の情報は含みません。
文書識別子:SYNTH-RULES-V1
版:v1
発行日:2027-01-05
適用開始日:2027-01-05
適用範囲:通常受付の提出手順
この版は適用開始日から、後続版の適用開始日前まで使用します。
通常受付の週次締切:毎週火曜日 17:00
通常受付の必須確認項目数:11項目
曜日と時刻は、この架空手順内での表記です。実在の受付予定ではありません。
fictional-rules-v2.txt
架空の提出手順 v2
これは再現実験専用の完全な架空資料です。実在の人物・団体・場所の情報は含みません。
文書識別子:SYNTH-RULES-V2
版:v2
改訂日:2027-02-12
適用開始日:2027-03-01
適用範囲:通常受付の提出手順
この版の通常受付ルールは適用開始日以降に使用します。
通常受付の週次締切:毎週水曜日 15:00
通常受付の必須確認項目数:14項目
曜日と時刻は、この架空手順内での表記です。実在の受付予定ではありません。
Google公式ヘルプはTXTやコピーしたテキストを対応ソースに挙げ、チャットで使う資料を個別に選べると説明しています。今回は上の全文をソース追加欄へ貼り付ける経路を使いました。Google公式:ノートブックの新しいソースを追加または検索する
新旧2資料と新版のみを、6つのNotebookで比べる
条件Aはv1・v2の両方を追加して両方を選択、条件Bはv2だけを追加して選択します。Bでは「旧版を登録したままチェックだけ外す」のではなく、初めから旧版を入れません。過去の回答や別の資料が混ざるのを避けるため、1条件・1質問につき新しいNotebookを一つ用意する方式を固定しました。
質問は、適用前の2月20日・適用後の3月2日・記載のない特別対応の3種類。6つの独立Notebookで、各初回1質問への回答を比較します。資料追加時などにサービスが自動表示する概要やソースガイドは、採点対象に含めません。実行順はA1→B1→B2→A2→A3→B3です。回答を見て質問を書き換えたり、再生成した中からよい回答を選んだりしません。
実施日は2026年10月29日。パソコンの日本語画面で、各TXT全文を公式のソース追加ダイアログへ貼り付けました。画面に内部モデル名は表示されず、推測していません。追加のWeb検索は行わず、質問前には追加アプリ参照を使わない選択にしました。画面操作と回答・引用の文意照合は、運営者の指示を受けたAIアシスタントが行い、別のAI担当も回答と引用を読みました。
判定表は回答を見る前に用意しました。見る軸は、値と対象の一致、適用時点の判断、不明の扱い、出典の対応の四つです。曜日が合っていても引用が違えば、その二つは分けて記録します。文章の言い回しが同じかどうかで判定する実験ではありません。
6セルの実回答と引用を並べる
6つの初回回答と、実際に開いた引用先をまとめました。B2は送信前チェック欄の保存が欠けており、その限界を行内と末尾に記しています。曜日・時刻は次回の締切日ではなく、指定日時点のルールへの回答です。
表は横にスクロールできます。
| セル | 資料 | 質問 | 実回答の要約 | 適用・不明の説明 | 引用先の照合 |
|---|---|---|---|---|---|
| A1 | 新旧2資料 | 2027-02-20・通常受付 | 毎週火曜日17:00、11項目 | 2月12日の改訂後でも、3月1日の適用開始前なのでv1を適用すると説明。 | v1の適用期間と通常受付値、v2の改訂日・適用開始日への引用を実際に開き、原文と対応。 |
| B1 | 新版のみ | 2027-02-20・通常受付 | 締切・項目数とも「資料からは不明」 | v2の改訂日は過ぎていても適用は3月1日から。2月20日の旧ルールは選択中資料にないと説明。 | v2の改訂日・適用開始日・適用開始日以降に使う旨への引用を開き、元TXTと対応。 |
| B2 | 新版のみ | 2027-03-02・通常受付 | 毎週水曜日15:00、14項目 | 3月2日はv2適用開始日以降。記載のない発行日は不明。※送信前チェック欄の保存欠測あり。 | v2の適用開始日・通常受付の曜日、時刻、項目数への引用を開き、元TXTと対応。 |
| A2 | 新旧2資料 | 2027-03-02・通常受付 | 毎週水曜日15:00、14項目 | 3月2日はv2の適用開始日以降で、v1の使用期間は後続版の適用開始日前までと区別。 | v2の適用開始日と通常受付値、v1の使用期間への引用を実際に開き、両資料の原文と対応。 |
| A3 | 新旧2資料 | 2027-03-02・特別対応 | 特別対応の締切・項目数とも「資料からは不明」 | 両資料の適用範囲は通常受付で、特別対応の規定は記載されていないと説明。通常値を特別対応へ適用しない。 | v1・v2の適用範囲と日付、v2の通常受付値への引用を実際に開き、原文と対応。 |
| B3 | 新版のみ | 2027-03-02・特別対応 | 特別対応の締切・項目数、別規則の有無とも不明 | v2は通常受付の資料。通常値は参考だけに分け、特別対応へ転用しない。 | v2の通常受付という適用範囲・適用日・通常値への引用を実際に開き、元TXTと対応。 |
A1(新旧2資料)の回答抜粋
毎週火曜日 17:00
B1(新版のみ)の回答抜粋
締切の曜日・時刻: 資料からは不明
2月20日の組では、v2だけにすると過去の値の根拠がなくなり、回答は不明になりました。値が出たかどうかと、資料の範囲を守れたかは分けて読めます。特別対応の2回答も、通常受付の値で穴埋めせず、選択資料で確認できない範囲を残しています。
引用番号が付いていることと、その引用が答えを支えていることは同じではありません。日付や数値だけでなく、「通常受付」「適用開始日以降」といった条件も原文へ戻って確かめます。引用が開けない場合は未確認として残し、本文が正しそうだからと出典まで合格にはしません。
同じ資料と質問で、自分でも確かめる手順
- 実験用の新しいNotebookを用意し、A1など、条件が分かる名前を付けます。普段使っている資料は入れません。
- ソース追加のテキスト貼り付け欄へ、Aならv1全文→v2全文を別々に、Bならv2全文だけを追加します。各資料を開き、日付・曜日・時刻・項目数が元TXTどおりか確認します。
- 生成直前に、ソースの件数・名称・選択状態を見て保存します。Web検索や別アプリの資料を混ぜません。分離を確認できなければ、同じ条件で比べられません。
- 下の対応する質問を、共通の指示文ごと1回だけ送ります。条件AとBで質問文を変えません。
- 最初の回答全文と、開いた引用先を保存します。実行日と表示されたモードも控え、内部モデル名を推測しません。
- 次のセルは別の新しいNotebookで行います。取り込み失敗、応答なし、利用上限はその状態で残し、期待値で埋めません。
- 値、適用日、不明の扱い、引用を分けて読みます。今回と違う答えが出ても、一度で優劣を決めず、その回答と条件を残します。
以下は送信する質問の全文です。同じ質問を新旧2資料・新版のみの両方で使います。「改訂日と適用開始日を区別する」という指示を含むこと自体も、今回の条件の一部です。
質問1:2月20日の通常受付
選択中の資料に書かれた内容だけを根拠に回答してください。改訂日・発行日と適用開始日を区別してください。資料だけでは確定できないことは「資料からは不明」としてください。締切の曜日・時刻、必須確認項目数、適用判断の理由を分け、根拠の資料名と該当箇所を示してください。画面上の引用機能が使える場合は、その引用も付けてください。外部情報や会話の推測で補わないでください。
2027-02-20時点で、通常受付に適用される週次の締切と必須確認項目数は何ですか。質問日の次回締切日ではなく、その時点で適用される曜日・時刻のルールを答えてください。
質問2:3月2日の通常受付
選択中の資料に書かれた内容だけを根拠に回答してください。改訂日・発行日と適用開始日を区別してください。資料だけでは確定できないことは「資料からは不明」としてください。締切の曜日・時刻、必須確認項目数、適用判断の理由を分け、根拠の資料名と該当箇所を示してください。画面上の引用機能が使える場合は、その引用も付けてください。外部情報や会話の推測で補わないでください。
2027-03-02時点で、通常受付に適用される週次の締切と必須確認項目数は何ですか。質問日の次回締切日ではなく、その時点で適用される曜日・時刻のルールを答えてください。
質問3:3月2日の特別対応
選択中の資料に書かれた内容だけを根拠に回答してください。改訂日・発行日と適用開始日を区別してください。資料だけでは確定できないことは「資料からは不明」としてください。締切の曜日・時刻、必須確認項目数、適用判断の理由を分け、根拠の資料名と該当箇所を示してください。画面上の引用機能が使える場合は、その引用も付けてください。外部情報や会話の推測で補わないでください。
2027-03-02時点で、特別対応が必要な提出の締切と必須確認項目数は何ですか。通常受付とは別の決まりがあるかも含め、資料で確認できる範囲だけを答えてください。
この小実験から言える範囲を決めておく
今回の資料は短いTXTで、適用範囲と日付をはっきり書いています。長い規程、例外だらけのマニュアル、画像PDFの読み取りを確かめたものではありません。さらに各セル1回答なので、6セルの結果を正答率や再現性、サービス全体の性能へ広げることはできません。
新版のみの過去時点では、必要な旧版を意図的に外しています。そこで不明と答えることは、能力不足ではなく、渡された根拠を守った回答になり得ます。反対に、旧版の値が根拠なしで出たとしても、その一例だけで内部の仕組みまで決めつけません。
新版だけで3月2日を尋ねたB2は、送信前のチェック欄の保存が欠けています。資料の取込本文と回答の引用先は確認しましたが、他の条件と同じ保存証拠がそろった比較とは扱いません。
Google公式は資料に基づく対話や引用を案内していますが、それがこの実験や手元の資料で常に正しく働く保証にはなりません。大事な判断では、表示された回答と原文の条件を照合するところまでを一つの作業にしてください。Google公式:Gemini Notebookの詳細
まず一つ試すなら、質問を「今のルールは?」から「○年○月○日時点で、○○に適用されるルールは?」へ具体化します。その日時点の根拠資料がそろっているかを確かめ、不足しているなら資料を探す。答えを急ぐ前に、カレンダーと資料の組み合わせを見る一手です。
新しい版を手にすると、それだけで一歩進んだ気分になります。でも今回の例で見るべきなのは、改訂日と適用開始日、それから知りたい日との関係です。答えの数字だけでなく、どの日付から使うものなのかまで確かめる。この一手なら、AIを使う前にも、答えを受け取った後にも役立ちます。
資料にないことを「分からない」と残すのは、確認を先へ進めるための目印にもなります。足りない資料が見えれば、次に探すものも決めやすい。便利な道具に任せる場面でも、問い方と確かめ方は手元に置いておきたいですね。日々の迷いや工夫を綴る「親父の奮闘記」も、よければのぞいてみてください。

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