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健康診断で「血圧が高めですね」と指摘され、自宅での血圧測定を勧められることがあります。いざ家庭用の血圧計を準備しても、「いつ測ればいいのか」「何日分をどのようにメモして病院へ持っていけばよいのか」と、記録の仕方に迷ってしまう方は少なくありません。
インターネットで検索すると様々な数値の情報が出てきますが、この記事で準備するのは、自宅で測った値と、その時刻・条件を伝えるための記録です。条件がバラバラな記録や、都合の良い低い数値だけを書き留めたメモは、正確な相談の材料にはなりません。
家庭での血圧記録は、学会の案内に基づく「朝と晩の決まった条件」で測り、すべての数値をそのまま医師へ見せてください。
- 朝は起床後1時間以内・朝食前・服薬前、晩は就寝直前に、椅子で休んでから測ります。
- 1回のタイミングにつき原則2回測定し、その平均を記録します。
- 週に5日以上測定した結果を整理して持参します。「7日分」は記録の枠であり、受診を待つ期限ではありません。
- 体調が悪いときや緊急時は、記録の完成を待たずに医療機関を受診するか、救急窓口へ相談してください。
この記事では、日本高血圧学会が一般向けに公開している資料に基づき、医師にあなたの状態を正しく伝えるための「家庭血圧の記録づくり」の手順と、注意すべき判断の境界線を解説します。
測定の条件を揃える。朝と晩に測るタイミングの基本

血圧は、測る時間帯や直前の行動によって大きく変動します。そのため、測定条件が違った場合は、数値だけで理由を決めず、その違いも記録して相談します。記録を意味のあるものにするための第一歩は、測定の条件を揃えることです。
上腕で測る血圧計を用意する
日本高血圧学会の一般向け資料では、家庭での測定には「上腕(二の腕)」で測るタイプの血圧計が推奨されています。使用する機器は説明書を確認し、医師から機種や測り方の指示を受けている場合は、その指示に従ってください。
朝と晩、それぞれの測定条件
測定は「朝」と「晩」の1日2回行います。それぞれのタイミングには、学会の資料で案内されている明確な条件があります。以下の表で確認してください。
| 測定のタイミング | 案内に沿う条件(OK) | 取り違えないこと(NG) |
|---|---|---|
| 朝の測定 | ・起床後1時間以内 ・排尿(トイレ)を済ませた後 ・朝食を食べる前 ・血圧の薬を飲んでいる場合は、服薬の前 ・椅子に座って1〜2分安静にしてから測る |
朝食・服薬後の値を、朝食・服薬前として記入する |
| 晩の測定 | ・就寝の直前 ・排尿(トイレ)を済ませた後 ・椅子に座って1〜2分安静にしてから測る |
翌朝の測定値を、前夜の欄へさかのぼって記入する |
朝は起床後1時間以内でも、排尿後に椅子で1〜2分休む手順を含みます。「起きた直後に立ったまま測る」という意味ではありません。条件が違った日は、その違いを短く添えます。
1回につき2回測る。記録に残す数値と空欄の扱い方

タイミングの条件が分かったら、次は具体的な測り方と、ノートへの書き残し方です。1回の測定で終わりではないことに注意が必要です。
原則として2回測り、平均を出す
学会の案内では、朝のタイミング、晩のタイミングのそれぞれで「原則2回」測定し、その平均をとることが勧められています。
測定間隔やカフ(腕に巻く部分)の扱いは、使用機器の説明書と個別の指示を確認します。そして、1回目と2回目の「上の血圧(収縮期血圧)」と「下の血圧(拡張期血圧)」の数値をそれぞれ記録し、その平均値を計算して残します。
測定中に電話や会話などがあった場合は、その事実をメモします。再測定の扱いは機器の説明書や医療者の指示で確認し、追加で測った値を元の値と取り違えないようにします。
都合の良い数値だけを選ばず、元の値をすべて残す
記録用のノートを作る際、やってはいけないのが「高い数値が出たから、これは見なかったことにして、低かった時の数字だけを書く」という行動です。
低い値だけを選ぶと、実際に測った記録とノートの内容が食い違います。1回目の数字、2回目の数字、そしてその平均値。元の値をすべてそのままノートに書いてください。
また、仕事の都合などでどうしても朝の測定ができなかった日や、晩の測定を忘れて寝てしまった日があるかもしれません。その場合は、焦って別の時間に適当に測って埋め合わせるのではなく、「その回は空欄」として残しておきます。空欄があるからといって、記録の価値がなくなるわけではありません。
書く欄を先に分ける。これは記録整理の例です
次の欄は、測定値とメモを混ぜないための編集上の提案です。学会の公式記録用紙そのものではありません。病院から用紙を渡されている場合は、その用紙を使います。新しいノートへ転記するより、指定用紙をそのまま持参した方が確認しやすい場合もあります。
- 日付と朝・晩の区分:同じ日でも二つの欄を分けます。
- 測った時刻:記憶から後で推測して書かず、測定時に確認した時刻を残します。
- 1回目と2回目:上の血圧、下の血圧をそれぞれ別の欄に記入します。
- 平均値:元の値の欄を消さず、平均と明記した別の欄へ書きます。
- 条件のメモ:通常と違った点だけを短く残します。原因を診断する欄ではありません。
- 相談したいこと:測り方や記録の扱いについて、確認したい質問をまとめます。
平均を計算するときは、上の血圧の1回目と2回目を足して2で割り、下の血圧も同じように別々に計算します。上の値と下の値を足して一つの平均にはしません。丸め方が指定されていれば、その指示に従います。指定がなく迷う場合は元の値を残し、相談時に確認してください。ここでは実際の測定値を使った診断例は示しません。
機器に表示される平均値を利用する場合は、どの期間・何回分の平均なのかを説明書で確認します。画面に「平均」と出ていても、今回の2回分と同じ範囲かは確認が必要です。範囲を確かめられない値を、2回分の平均として転記しないでください。
書き間違いを見つけたら、何を直したか分かるように訂正します。後から作った平均と、実際の測定値を同じ欄へ上書きしないことがポイントです。紙でも表計算でも、元の記録をたどれる形にしておきます。
「7日間」は整理の目安。受診を遅らせないための注意点

記録用紙などを見ると、月曜日から日曜日までの「7日間」の枠が用意されていることが多いでしょう。しかし、この「7日間」の扱いには十分な注意が必要です。
週5日以上の結果を整理して持参する
学会の案内では、週に5日以上測定した結果を主治医へ見せることが推奨されています。「7日分の枠」は、この1週間分の記録を見やすく整理して持参するための、編集上の枠組みにすぎません。
「必ず7日分、すべての枠が埋まるまでは病院に行ってはいけない」という決まりではありません。記録の途中であっても、健診の再検査の指示や、すでに予約している診察の日が来たら、その時点までの記録を持って受診してください。
緊急時は記録の完成を待たずに助けを呼ぶ
最も危険なのは、体調に明らかな異変があるにもかかわらず、「まだ血圧の記録が7日分そろっていないから」という理由で受診を我慢してしまうことです。
突然の激しい頭痛、胸の突然の激痛や締め付けられる痛み、うまく話せない、突然片方の腕や足に力が入らないなどの症状は、命に関わる病気のサインである可能性があります。消防庁の救急車利用案内でも、これらの症状が出た場合は迷わず119番通報するよう呼びかけられています。緊急時は、血圧の記録の完成を待たずに救急対応を優先してください。
また、救急車を呼ぶべきか迷う場合は、地域で案内されている救急相談窓口(#7119など、地域によって異なります)へ相談してください。
記録表を相談の材料にする。勝手な自己判断をしない

受診日には、その時点までの記録を医療機関へ持参します。1週間分がそろっていなくても、予約や受診の指示を優先してください。この記録は、あなたと医師が状態を共有し、今後の対応を決めるための「相談の材料」です。
記録を見て自分で診断を下さない
血圧の記録が揃うと、インターネットで「高血圧の基準値」を検索し、自分の数字と見比べて「自分は高血圧だ」「まだ基準値より低いから大丈夫だ」と自分で診断を下そうとしてしまうことがあります。
しかし、必要な治療や目標となる血圧の数値は、あなたの年齢、持病の有無、その他の健康状態によって一人ひとり異なります。7日分の記録がついたからといって、それで自己診断ができるわけではありません。最終的な診断と治療の方針は、医師が判断するものです。
薬の増減は絶対に自己判断で行わない
すでに血圧の薬を処方されている方の場合、家庭での血圧の数字を見て「最近は血圧が低いから、今日は薬を飲むのをやめておこう」と自己判断で薬を減らしたり、逆に「高いから2回飲もう」と増やしたりすることは絶対に避けてください。
薬の変更を自分で判断するための記録ではありません。薬の量や回数に疑問がある場合は、持参した血圧の記録表を見せながら、必ず医師に直接質問して指示を仰いでください。
「いつもの状態で、正しく測り、そのまま残す」。この基本を守った記録こそが、測定結果と条件を伝える相談材料になります。
よくある質問(Q&A)
Q. 飲み会で帰りが遅くなり、就寝前の測定を忘れてしまいました。翌朝にまとめて2回分測ってもいいですか?
A. いいえ、翌朝に晩の分をまとめて測ることはできません。血圧は測ったその瞬間の状態を示すものです。もし晩の測定を忘れてしまった場合は、その回の記録は「空欄」として残し、翌朝は通常通りの朝の条件で測定してください。測れなかった理由が分かる場合は短く添え、不明な理由を作らないようにします。
Q. 医師から「朝だけ測ってください」と指示されています。この記事の手順と違う場合はどうすればいいですか?
A. 医師から個別の指示を受けている場合は、常に医師の指示を最優先してください。この記事は一般的な記録の準備について解説したものですが、測定時点や期間は、個別に指定される場合があります。測定する日数や回数について医師から指定がある場合は、必ずそれに従ってください。
確認した公式資料(2026年9月14日)
家庭血圧の記録で残したいのは、きれいにそろった数字より、実際に測った値と条件です。空欄の理由が分からなければ、そのまま残す。平均を計算しても、元の値を消さない。相談する相手が確認できる形にしておくことが、ノートを作る目的になります。
七日分の枠を埋めることが目的に変わると、相談が後回しになってしまいます。受診の案内や個別の指示があれば、記録の完成よりそちらを優先する。整っていなくても必要なときに相談へ進むという考え方は、「親父の奮闘記」にもつながります。

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