NASからクラウドへ1TBを移す時間は、容量を回線速度で割るだけでは決まりません。日中も仕事のファイルを更新するなら、夜間に運べる量と、次の夜までに増える転送量を比べる必要があります。
まず小さくコピーし、移行先まで届いた量から1時間あたりの転送量を測ります。夜間の転送量より毎日の追加転送量が多いなら、同じ時間割のまま日数を延ばしても追いつきません。初回コピーの日数と、最後に書き込みを止める時間を別々に見積もりましょう。
この記事の数値は計算方法を示す架空例です。製品の実測値や、特定の会社で移行した実績ではありません。1TB=1,000GBで統一しています。
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新しい共有先を選ぶ前に、転送の条件を確認する
法人向けの新しい共有先が必要な場合は、公式サイトで試用・容量・料金・移行方法を確認してください。試用では同じ見本を使い、実際に運べる量と再転送量を測ります。
ABLENETストレージへの申込だけで移行が速くなったり、日々の転送不足が解消したりする保証はありません。既存の共有先で足りる場合は、新しい契約を増やす必要はありません。
契約回線の速度ではなく、コピーが完了した量を測る
新しい共有先を検討している段階では、いきなりNAS全体を移さず、提供元が認める試用環境で、業務上共有してよい見本を使って確認します。移行元を消す「移動」ではなく、元を残すコピーにします。
大きな動画が少数あるフォルダと、小さな書類が大量にあるフォルダでは、同じ容量でも所要時間が変わりえます。実際に移すものに近い構成を選び、使う時間帯・端末・移行先・コピー方法をそろえて記録してください。
| 記録する項目 | 架空の記入例 |
|---|---|
| 移行先で完了を確認できた元ファイルの合計量 | 18GB |
| 開始から完了確認までの経過時間 | 2時間 |
| 1時間あたりの転送量 | 18÷2=9GB/時 |
| 1晩に実際に転送できる時間 | 8時間 |
| 1晩に運べる量の試算 | 9×8=72GB |
画面にファイル名が並んだだけで、移行先への転送が完了したとは限りません。ABLENETストレージの公式導入マニュアルも、仮想ドライブに見えることと共有完了を区別し、大量ファイルを分けてコピーして、セッションログなどで転送結果を確認するよう案内しています。
別の時間帯やファイル構成でも試し、遅い条件も予定に入れます。再開方法、コピーできない名前・ファイル種別、必要な手元の空き容量は、選んだ製品と移行方法の公式仕様で確認してください。この表は、夜間の一時停止や自動再開ができることを保証するものではありません。
毎日の更新分を足して、残りが減るか確かめる
最初に運ぶ量が1,000GB、1晩の転送量が72GBなら、更新が一切ない計算では1,000÷72=約13.9晩、切り上げて14晩です。ところが、日中に変更したファイルの再転送が必要になると、残量は違ってきます。
ここで数えるのは、NAS全体の容量が増えた量ではなく、実際に追加で転送する必要のある量です。容量がほとんど増えなくても、大きなファイルを更新して再転送する方式なら、転送量が多くなることがあります。差分の単位は製品で違うため、変更した文字数などから推定せず、試用時の記録や移行ツールの仕様で確かめます。
次は、計画開始日の朝に未転送分が1,000GBあり、毎日日中に8GBの追加転送が発生して、その後の夜に72GBずつ運ぶという単純な架空例です。同じデータを二重に数えないよう、毎晩の開始時点で未転送の量を集計する前提です。
| 夜 | 前夜からの残り | 追加転送分 | 今夜運ぶ量 | 終了後の残り |
|---|---|---|---|---|
| 1晩目 | 1,000GB | 8GB | 72GB | 936GB |
| 2晩目 | 936GB | 8GB | 72GB | 872GB |
| 3晩目 | 872GB | 8GB | 72GB | 808GB |
| 14晩目 | 168GB | 8GB | 72GB | 104GB |
| 15晩目 | 104GB | 8GB | 72GB | 40GB |
| 16晩目 | 40GB | 8GB | 48GB | 0GB |
この仮定では14晩で終わらず、16晩目までかかります。計算は「前夜の残り+今日の追加転送分−今夜運べた量」で、0より小さくなったら0とします。実際には更新が同じファイルに集中するなどして転送対象が変わるため、毎晩の実残量で更新してください。
1晩72GBに対して追加転送分が毎日80GBなら、この単純モデルでは初日の夜から残りが8GBずつ増えます。追加転送分が72GBと同じなら、正の残りは減りません。転送時間を広げる、移行対象や更新の扱いを業務担当者と見直すなど、条件を変える検討が先です。日数だけ延ばして解決するとは判断できません。
最後の切替枠には、転送と照合の両方を入れる
初回分を運び終えても、その後に更新した分が残ります。切替日は、元と先の両方で編集して内容が分かれることを防ぐため、どちらへ書き込めるかを関係者と決めます。読み取り専用への変更や差分コピーの実行は、管理者が製品の手順に従って行います。
書き込みを止められるのが2時間なら、2時間を丸ごと転送に使えるわけではありません。照合に30分を取る架空例では、転送枠は1.5時間です。9GB/時なら、転送できる量は9×1.5=13.5GBとなります。
| 確認欄 | 架空の記入例 | 判断 |
|---|---|---|
| 最後に必要な転送量 | 8GB | 9GB/時なら約53分。照合30分との合計は約83分 |
| 同じ枠に20GBが残った場合 | 転送だけで約133分 | 照合前から2時間を超えるため、予定を再検討する |
| 照合の実績がない場合 | 所要時間は未確認 | 30分で終わる前提を置かず、リハーサルで測る |
| 未説明の件数差・エラーがある場合 | 未解決として記録 | 件数を合わせるために元ファイルを消さない |
件数や総容量が一致しても、中身や閲覧権限まで合っている証明にはなりません。業務で使う代表ファイルが開けるか、必要な人が見られ、対象外の人には見えないかを確認します。中身の照合方法、失敗したときに戻す先と手順、旧NASを保管する期間も、切替前に決めてください。
回線だけで難しい場合は、物理移送も条件をそろえて比べる
時間表で難しいと分かったら、先に移す量と利用時間を見直します。すでに使っている共有サービスで必要な容量・権限・運用を満たせるなら、新しいストレージ契約を増やす必要はありません。
別の共有先を必要としてABLENETストレージを検討する場合、公式のデータ移送サービスは、提供元から届く外付けHDDへ利用者がコピーして返送し、提供元がストレージへアップロードする仕組みです。公式料金表では1回1TBまで44,000円(税込)で、保存容量そのものを追加する費用とは別です。
物理移送は最初の未転送量を減らす方法で、毎日の更新量や夜間に運べる量そのものは変えません。正の残量があり、毎日の追加転送量が夜間容量以上なら、初回分を少し減らしても追いつかない条件は残ります。初回分をすべて運べた場合も、その後の更新分が時間内に収まるかは別に確かめます。
この料金だけで「回線より速い」「切替まで全部任せられる」とは判断できません。HDD到着・コピー・返送・取込の日程と、その間に更新したファイルを誰がどう移すかをそろえて比較します。本記事で確認した公開ページだけでは、配送を含む完了日数、移行元の権限の再現、最後の更新分の対応範囲は確定できませんでした。
| 比較すること | 回線でコピー | 物理移送 |
|---|---|---|
| 初回分の予定 | 自社で測った転送量と使える時間から試算 | HDDの往復と提供元の取込予定を確認 |
| 移行中の更新分 | 毎日の追加転送分と残量を記録 | 返送後の更新分を別に移す方法・担当を確認 |
| 自社に残る作業 | 対象選定、実行、エラー確認、切替と照合 | 対象選定、HDDへのコピー、返送、切替と照合の分担確認 |
| 費用 | 既存回線・担当者の作業・必要なツールを確認 | 移送料に加え、ストレージ契約料などを確認 |
ABLENETのベーシックは、2026年10月28日確認の公式料金表で、1TB・ユーザー数無制限、初期費用16,500円、月契約22,000円、年契約237,600円(税込)です。年契約の月額換算19,800円を、月契約の料金と取り違えないようにします。高度な管理機能が必要かどうかも、人数だけでなく実際の権限・共有条件で選びます。
公式FAQでは試用期間は最大10日、本契約申込後のキャンセル・返金は不可と案内されています。最低利用期間は月払いなら翌月末、年払いなら12か月後の末日までで、更新停止は希望月の前月末が締切りです。試用で終える場合の手順や期日も申込前に確認し、試せることを理由に有料契約を急がないでください。
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物理移送の範囲と、更新分を運ぶ担当をそろえる
回線経由の時間が長い場合は、初回分を物理移送する方法も比較できます。公式サイトでストレージ料金と移送料を分け、HDDの往復・取込の日程、返送後の更新分、照合と復旧を誰が担当するかを確認してください。
物理移送は日々の転送能力そのものを増やす方法ではありません。更新分や移行後の完全性、希望日の完了は保証されません。無料試用・本契約の条件を確認したうえで判断します。
残りが減ることと、移行後に使えることを確かめる
次にすることは、契約回線の数字を探すことより、自社の見本を何GB・何時間で運べたかと、次の晩までに何GBの再転送が必要かを1行ずつ残すことです。その記録があれば、移行先や依頼先にも、日程と担当を具体的に相談できます。
切替前に、移行後の件数差を説明できること、代表ファイルを読み出せること、必要な人だけがアクセスできることを確認します。エラーが出た場合の復旧担当と戻す手順を決め、旧NASを残す期間も共有してください。日数の試算だけで、削除・ロック・権限や内容の完全移行が証明されるわけではありません。
「夜間に運べる量」を知るだけでなく、翌日増える分も記録する。NAS移行の予定を考えるときは、この二つを並べると、待つべきなのか、時間割や移す範囲を変えるべきなのかを分けて考えやすくなります。
最初に大きく運ぶ準備と、毎日増える分を運び続ける準備は別々です。最後に使う人がファイルを開けることまで確かめて、ようやく次の仕事へ移れます。
日々の試行錯誤は「親父の奮闘記」にもまとめています。派手な切替より、小さく試し、理由の分からない差を残さない段取りを大事にしたいところです。

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