会社の看板を外したら、自分は何を売れるのか。40代からのスキルシェアという新しい打席
先日、経営者仲間との飲みの席で「もし今の会社の看板がなくなったら、自分は何で稼げると思う?」という話になった。答えに詰まる人間が多くて、自分も含めて少し気まずい空気が流れた。
肩書きを外した自分に、値段をつけられる何かがあるか。この問いは、40代になった今だからこそ、一度は向き合っておくべきだと思う。そこで最近自分が調べて、実際に触ってみたのが「スキルシェア」という仕組みだった。
クラウドソーシングとは違う、「経験」を売る市場
以前の記事で触れたクラウドソーシングは、企業や個人から発注されたタスクをこなす「代打」のような働き方だった。単価は決められていて、こちらが値段を決める余地は少ない。
一方でスキルシェアは仕組みが少し違う。自分の経験・知識・時間そのものに、自分で値段をつけて売る仕組みだ。代表的なサービスとして、ココナラ、ストアカ、タイムチケットの3つがある(出典: Re:ZONE スキルシェアとは)。
ココナラは会員登録数400万人以上、累計取引実績850万件を超える国内最大級のスキルマーケットで、500円という小さな金額からでも自分のスキルを出品できる(出典: ATPRESS、PR TIMES)。ストアカは「教える・学ぶ」に特化していて、自分の得意分野を講座形式で提供できる。タイムチケットは「30分〇円」という単位で自分の時間そのものを売る仕組みで、時給換算で買い叩かれる心配が少ないのが特徴だ。
意外と大きい市場規模
正直、自分も最初は「そんな市場、大したことないだろう」と侮っていた。だが調べてみると数字が違った。個人や法人が知識・スキル・経験を売り買いする市場は、潜在的には約18兆円規模に上ると見込まれており、そのうちオンラインで取引されている部分は現時点でまだ0.6%程度、金額にして約1,000億円にとどまっている(出典: Business Insider Japan)。
裏を返せば、伸びしろがまだ大きい市場だということだ。スキルシェアリングサービスの国内市場規模は2028年度には6,800億円になると見込まれており、オンラインスキル市場自体も2030年頃には1.8兆円規模になると予測されている。まだ「バッターボックスに立っている人間が少ない」市場だと言える。
「40代の経験」は本当に売り物になるのか
不安に思う人も多いだろう。若い世代の方がITスキルもSNS発信力もある中で、40代の自分に何が売れるのか、と。
だが、実際に自分がストアカやタイムチケットの出品一覧を眺めてみて感じたのは、若さや専門的な資格だけが「売り物」ではないということだった。経営の相談に乗る、業界特有の交渉ノウハウを教える、部下との向き合い方について話す。こうした「長く現場で揉まれた経験」そのものに需要があるのが、この市場の面白いところだ。野球で言えば、球速や身体能力で勝負する若手とは別に、配球の読みや駆け引きの経験値で勝負するベテラン投手のポジションが、ちゃんと存在するということだ。
実際に出品するとしたら、何を売るか考えてみた

自分なりに棚卸ししてみると、案外いくつか候補が出てきた。
①経営相談・壁打ち相手。資金繰り、値上げ交渉、人の採用と定着。同じ悩みを抱える経営者の話し相手になるだけでも需要はありそうだ。
②業界特有の実務ノウハウ。マニュアル化されていない、現場でしか身につかない段取りやコツ。誰かにとっては喉から手が出るほど欲しい情報かもしれない。
③元球児としての経験。少年野球や部活動の指導に悩む親御さん向けに、体づくりやメンタル面での経験を話すことにも、需要はあるかもしれない。
まだ実際に出品するかは決めていないが、こうして「自分の経験を棚卸しする」作業自体が、想像以上に自己認識のいい機会になった。
焦って飛びつく必要はない
一つだけ自分への戒めとして書いておきたい。市場が伸びているからといって、焦って何にでも手を出すのは危険だ。値段設定を誤ればただの安売りになるし、レビューが集まらない出品はすぐに埋もれてしまう。
まずは自分が本当に語れること、胸を張って対価をもらえることは何かを、じっくり棚卸しすることから始めるべきだと思う。ノーサインで無理に一発を狙いにいくより、自分の得意なコースをきっちり見極めてから、初球のスイングを決める方がいい。40代からの新しい打席は、慌てて振らなくても、まだ十分に間に合う。


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