深夜の激痛で目が覚めた日。「痛風」は40代経営者の職業病かもしれない
取引先との会食を終えて帰宅し、シャワーを浴びて布団に入った。それだけの、いつも通りの夜だった。
明け方、左足の親指の付け根から突き上げるような痛みで目が覚めた。布団の重さすら耐えられないほどの痛みで、しばらく何が起きたのか理解できなかった。「昨日ぶつけたか?」と自問しても、心当たりはない。
病院で告げられた病名は「痛風」だった。年に一度の健診で「尿酸値がやや高め」という指摘は受けていたが、痛くも痒くもないまま放置していた。その報いが、こんな形で来るとは思っていなかった。
40代は、痛風が最初に牙をむく年代
日本生活習慣病予防協会の統計によると、痛風の有病率は30歳以上の男性で1%を超えており、今も増加傾向にある。国民生活基礎調査の時点で、全国の痛風患者はすでに125万人を超えている。
出典:高尿酸血症/痛風|生活習慣病の調査・統計|日本生活習慣病予防協会
初発年齢としてもっとも多いのは30代で、それに40代、50代が続く。つまり40代の自分たちは、すでに発症のピークに片足を突っ込んでいる世代ということになる。さらに40〜50代男性の約20人に1人が高尿酸血症を抱えているという推計もある。
患者の98%が男性という、逃げ場のない数字

痛風患者の約98%は男性だ。女性ホルモンには尿酸値の上昇を抑える働きがあるとされており、これが男女差の一因と言われている。つまり「体質だから仕方ない」と諦められる話ではなく、男性であるというだけで、自分たちはすでに不利な条件を背負っている。
その上に、経営者という立場が重なる。接待や会食での飲酒、プリン体の多い肴、ストレスによる暴飲暴食。どれも「付き合い」や「仕事」の名のもとに正当化しやすく、自分も長年そうしてきた。
放置すると、痛みだけでは済まない
痛風発作そのものは数日で治まることが多い。だが厄介なのはそこで安心してしまうことだ。高尿酸血症を放置し続けると、腎臓に尿酸結晶が蓄積して腎機能が低下したり、動脈硬化を通じて心血管疾患のリスクを高めたりすることが知られている。
発作の痛みは「イエローカード」であって、「治療完了」のサインではない。ここで生活を見直さなければ、次はもっと重い代償を払うことになる。自分は今回、たまたま足の激痛という分かりやすい形で警告をもらえた。だが体は、いつも同じように親切な警告をくれるとは限らない。
経営者が見落としがちな「隠れリスク行動」

自分を含めて、経営者仲間を見ていて感じるのは、体育会系出身者ほど「気合と根性で痛みは乗り切れる」と思い込みがちだということだ。現役時代、多少の故障は「気持ちの問題」で片付けてきた記憶がある。だが尿酸値は、気合では下がらない。
見落としがちな行動は主に3つある。
①接待の場での「断れない一杯」。ビールや日本酒はプリン体を多く含み、さらにアルコール自体が体内での尿酸の生成を促し、排出を妨げる。
②水分不足。会議が詰まっている日ほど、水を飲む回数が減る。尿酸は尿として排出されるため、水分不足はそのまま排出効率の低下につながる。
③健診結果を「保留」にする習慣。決算書の異常値は即座に対策会議を開くのに、自分の尿酸値は「そのうち」で先送りにしてしまう。
40代からできる、地味だが効く対策
①プリン体の多い食品を「ゼロ」にせず「量」で調整する。レバーや白子、干物などを完全に断つのは現実的ではない。頻度と量を意識するだけでも変わる。
②水分をこまめに摂る習慣をつける。デスクに水を置いておき、意識的に飲む回数を増やす。それだけで排出のサイクルは改善しやすい。
③食物繊維など、見落としがちな栄養素を補う。自分は外食が続くと野菜や食物繊維が極端に不足しがちだと気づき、飲むタイプの水溶性食物繊維を間食代わりに取り入れるようにした。国が推奨する1日の食物繊維目標量に対して、実際の摂取量は不足している人が多いというデータもある。
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④年1回の健診結果を「数字」として追う。単年の結果だけでなく、前年・前々年と並べて推移を見る。決算書の前年対比を見るのと同じ発想で、自分の体も見るようにしている。
4番打者としての結論
現役時代、痛みを我慢してバットを振り続けることが「強さ」だと信じていた。だが40代になった今、痛みを我慢することと、痛みの原因を放置することはまったく別物だと痛感している。
痛風の発作は、体が出してくれた数少ない「分かりやすい警告」だ。次に同じ警告が来たとき、自分がまた同じ言い訳をしていないか。深夜の激痛を思い出すたびに、そう自問している。
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※本記事は情報提供を目的としており、症状や数値に不安がある場合は自己判断せず、医療機関にご相談ください。

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