試合前、ヘルメットのSGマークを見て「よし」。捕手マスクのJSBBマークを見て「よし」。
そこで確認を終えていませんか。公認表示があることと、手元の用具が今も使える状態であることは、別の確認です。
この三段階は、明らかな不合格を試合前に止めるためのフィルターです。すべてを見ても、けがを必ず防げるわけではありません。製品の取扱説明書と個別大会の要項も必ず確認します。
最初に分けるのは「規程」と「現物」
用具を見るときは、二つの問いを混ぜません。
問い1:この種類で良いか
SGマーク、JSBB公認表示、イヤーフラップ、スロートガードなど、連盟規程と大会要項に合う種類かを見ます。
問い2:この一個を今使うか
ひび、割れ、へこみ、曲がり、変形、腐食、パッドやバンドの欠落・ゆるみを見ます。
問い1だけに答えても、問い2の答えにはなりません。例えば、マークは正しくても、帽体にひびがあるヘルメットは使いません。公認品でも、バンドがゆるんだマスクは使用対象から外します。
1通目「表示」:用途と公認の手がかりを見る
まず、汚れで隠れた表示を無理にこすらず、読める範囲で確認します。表示を削ったり、塗りつぶしたりしてはいけません。
打者・次打者・走者用ヘルメット
- SGマークがあるか
- JSBBの連盟公認表示が確認できるか
- 少年・学童部では、両側にイヤーフラップ(耳を覆う部分)があるか
捕手用マスク
- SGマークがあるか
- JSBBの連盟公認表示が確認できるか
- スロートガード(のど前を覆う部分)が付いているか

2通目「外側」:回しながら光に当てる
表示を確認したら、用具を手の上でゆっくり回します。暗い用具袋の中では、濃い色の帽体やフレームの異常を見落としやすいため、明るい場所で見ます。
ヘルメットは縁まで一周
てっぺん、前後、両耳フラップ、帽体の縁まで視線を移します。ひび、割れ、変形、欠けがあれば使いません。大きな衝撃を受けたことが分かっている用具も、見た目だけで戻しません。
マスクはフレームとつなぎ目
ひび、割れ、腐食、へこみ、曲がりを見ます。フレームのつなぎ目、パッドの取付部、スロートガードの留め部も見ます。鋭い突起や飛び出した部品があれば触れ続けず、使用対象から外します。
「小さいから今日だけ」としないことが大切です。グラウンドでは、ひびの深さや残りの強さを測れません。わからないものを「大丈夫」にせず、「使わない」側に置きます。
3通目「固定部」:内側・パッド・バンドを見る
最後に、外からは見えにくい部分へ目を移します。用具を分解するのではなく、普通に見える範囲の欠落・ずれ・ゆるみを確認します。
指で押し込まず、まず目で見る
- ヘルメットの内側パッドや緩衝材が欠けたり、不自然にずれたりしていないか
- ヘルメットの留め付けに欠落やがたつきがないか
- マスクのパッドがフレームから外れそうになっていないか
- マスクバンドとその取付部に断裂、伸び、ゆるみ、欠落がないか
- スロートガードの取付部が外れかけていないか

後付けフェイスガードは「保護が増えた」で済ませない
打者用ヘルメットの顔前を広く覆うと、見た目では守る範囲が増えたように見えます。しかし、部品を後から付けるために、ヘルメットに穴を開けたり、耳の近くの緩衝材を外したりすると、元の設計条件が変わります。
全日本軟式野球連盟の公式FAQは、打者用ヘルメットへのフェイスガード取付け等の改造を禁止しています。SGマーク付き製品を改造した場合、SG認定は無効になると示されています。
これは、初めからガードを含めて設計され、ガード部分を含めて基準を満たした製品とは別の話です。「ガード付きは全部使えない」とも、「後付けでも大丈夫」とも決めず、製品の表示と大会要項を確認します。
「広く覆うから大丈夫」ではなく、「その形を含めて設計・適合した製品か」を見ます。
異常があった後の判断ツリー
点検で難しいのは、異常を見つけることより、見つけた後に試合進行を優先しないことです。その場で迷わないよう、先に行動を固定します。
推測で使わない。確認済みの代替品へ切り替え、元の用具は取扱説明書、メーカー、販売店で確認する。
使用しない。「今日だけ」「予備用だけ」としない。修理可否は現地で断定しない。
使用しない。その場の接着、結束、穴開け、別部品の追加で戻さない。
取扱説明書どおりに着用し、サイズとフィットを確認する。さらに当該大会の要項と主催者・審判部の指示を確認する。
三通過で異常が見つからなかったときも、「安全が証明された」とは言いません。目視で分かる不合格を通さなかったというだけです。

前日に決めるのは「誰が止めるか」
用具点検を試合直前の一人の気づきに頼ると、ノック、オーダー確認、移動に押されます。用具数が多いチームほど、前日に止める人と置き場を決めるほうが実行しやすくなります。
- 点検担当:三通過を同じ順番で見る
- 停止担当:異常品を使用候補から外す。子どもが自分で戻さないよう別の場所に分ける
- 代替担当:サイズと用途を確認した代替品を準備する
- 規程確認担当:大会要項と当日の主催者・審判部の指示を確認する
まとめ:マークは入口、異常を止めて点検完了
打者用ヘルメットと捕手用マスクは、「公認品か」と「手元のその一個を今使うか」を分けて見ます。
- 表示:SG、JSBB、対象に必要な形を見る
- 外側:ひび、割れ、変形、腐食、へこみ、曲がりを見る
- 固定部:パッド、緩衝材、バンド、留め付けの欠落・ゆるみを見る
一つでも不明・異常があれば使わない。分からないものを「たぶん大丈夫」で通さない。この止め方まで決めて、初めて使用前確認が終わります。
参考資料
- 全日本軟式野球連盟「公認用具について」
- 全日本軟式野球連盟規程細則、第12条「用具、装具等」
- 全日本軟式野球連盟「よくあるご質問」
- 製品安全協会「捕手用マスクのSG基準(公開用)」
- 製品安全協会「あごガード付き野球用ヘルメットについて」
- 製品安全協会「SGマーク賠償制度とは」
※本記事は公式規程と公開された安全基準を読みやすい順番に整理した一般情報です。個別製品の安全性、修理可否、大会での使用許可を保証しません。取扱説明書、メーカー、販売店、当該大会の主催者・審判部の指示を優先してください。

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